3人組のテクノポップユニットである「Perfume」やクイーン・オブ・ポップと称される歌手「マドンナ」など、クリエイターだけでなく数々の歌手がNFT市場に参入しています。
2022年5月現在、世界的に有名なNFTクリエイターであるBeepleとマドンナがコラボしたNFTコレクションが話題となりました。
当NFTコレクションは3作品で構成、NFTマーケットプレイスSuperRareにおいて約8000万円の値段で落札されました。
1つのNFTアートが数千万円で取引される市場ですが、総額6億円ものNFTを販売したアーティスト「Grimes(グライムス)」の存在はご存知でしょうか。
Grimes(グライムス)は、日本にも馴染みのあるアーティストですが、NFTやAIなど最新テクノロジーに興味を示す活動を数々おこなっています。
そこで本記事では以下の内容について解説します。
- 音楽アーティストGrimesについて
- GrimesのNFTコレクションとその価格
- Grimesの今後の動向について
本記事を読むことで、音楽アーティストがどのようにNFT市場へ参入しているのかが理解できて、今後の市場動向のヒントを得られます。
Grimesの名前をはじめて見た方にもわかりやすく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください!
Grimes(グライムス)とは
音楽アーティストGrimes(本名クレア・ブーシェイ)は、カナダのバンクーバー出身のソロミュージシャンです。
幼少期はバレエ、10代は絵画やアートに興味を持ち、大学は神経科学を学ぶために入学するなどあらゆるジャンルに関わってきた経歴があります。
しかし、大学に入学した後は授業にほとんど出席することはありませんでした。
というのも、たまたま授業で使い方を学んだ音楽制作ソフト「Logic」を通して作曲に没頭し始めたからです。
大学を中退し2007年からGrimesとして音楽活動をスタート、2010年にはデビューアルバム「Geidi Primes」をリリースします。
また、アメリカの自動車メーカー「テスラ」の代表取締役であるイーロン・マスク氏との間に2人の子どもを授かるなど、何かと話題に絶えない人物です。
2022年5月現在、合計5枚のアルバムをリリースしており、日本でもツアーを開催するなど世界を飛び回るミュージシャンへと成長しました。
Grimes(グライムス)氏のこれまでの実績
ソロミュージシャンとして活動するGrimes(グライムス)のこれまでの実績についてご紹介します。
これまでGrimesは以下5枚のアルバムをリリースしています。
- 2010年:Geidi Primes
- 2010年:Halfaxa
- 2012年:Visions
- 2015年:Art Angels
- 2020年:Miss Anthropocene
3枚目のアルバムVisionsはイギリスのインディー・レコードレーベル「4AD」からリリース。
さらに、4枚目のアルバムArt Angels は世界的な影響力をもつ老舗雑誌「NME」の年間ベスト・アルバムに選ばれるなど、世間から大きな評価を受けることになりました。
そして2021年2月28日、NFTマーケットプレイスNifty Gatewayにおいて、自身のNFTコレクションを出品します。
また、NFT市場への参入だけでなくAIにも関心をもっており、AIガールグループ「NPC」を立ち上げました。
さらに、2021年11月、AIガールグループのNPCはグラミー賞ノミネート経験を持つプロデューサーのChris Lake(クリス・レイク)とコラボを果たし、新曲「A Drug From God」を発売することとなります。
他にもAIで癒しの音楽を提供するアプリ「Endel」とコラボするなど、時代を先行する技術を惜しみなく取り入れながら活動するアーティストです。
Grimes(グライムス)のNFTコレクション
2021年2月28日、ソロミュージシャンであるGrimesはNFTマーケットプレイスNifty GatewayにおいてNFT作品を出品しました。出品された作品は10点、48時間限定で販売されましたが、数時間後で約600万ドル(約6億4000万円)を売り上げるといった驚異的な結果を残します。
また、販売された作品の中でも「Death of the Old」と呼ばれるNFT動画は、1点で約38万9000ドル(約4100万円)もの高額な価格で落札されました。
Grimesは当オークションを通して、売上の一部を炭素排出量の削減への取り組みをおこなう組織であるNGO「Carbon180」へ寄付したといいます。
これまでGrimesが販売してきたNFTは、2200円から約2億円まで値段を上げた作品もあり、今後も価格を上げる可能性を秘めているコレクションの1つです。
Nifty Gatewayのほかに、世界最大級のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaにおいてもGrimesのNFTは購入できます。
OpenSeaで販売されているGrimesのNFT作品概要は以下のとおりです。
- 作品数:1122点
- オーナー数:205
- 最低購入価格:0.25ETH(2022年5月現在:約6万円)
- 取引総額:88.7ETH
最も安価な作品は0.25ETHと比較的購入しやすい金額で取引されているので、Grimesの作品に魅力や将来性を感じた方は購入してみてはいかがでしょうか。
OpenSeaの使い方に関しては、以下の記事で解説しているので合わせてご覧ください!
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Grimes(グライムス)の今後
AIやNFT市場に積極的な姿勢をみせているGrimes。AI市場での活動がさらに加速すると考えられます。
Grimesは5枚目のアルバムMiss Anthropoceneに関するインタビューの中で、AIが人間を超えるアートをもたらす未来が訪れると言及しています。
さらに、AIガールグループ「NPC」を立ち上げたのは、「別の人間として創作やパフォーマンスすること世間の目にさらされることによる精神的苦痛を軽減するため」と説明。
Grimesは「今日嫌なことがあった」を理由にライブを5曲で終え、突然ステージを降りるといった突発的な行動に出ることもありました。
自身が人間関係や世間の目に苦しんだ経験があるからこそ、AIの可能性を注視しているのかもしれません。
またNFTマーケットプレイスの中には、スマートコントラクトによってNFTを自動的に生成する「ArtBlocks」と呼ばれるプラットフォームがあります。
AIによってアートを生成する時代を先読みしているGrimesの思想と重なる仕組みが実装されているため、今後もNFT市場での活躍も十分に考えられます。
どちらにしても、AIが生成するデジタルアートであればNFT化する可能性が高いため、今後のGrimesの活動とNFTに注目したいところです。
Grimes(グライムス)のまとめ
本記事では、ソロ・ミュージシャンとして活躍するGrimes(グライムス)と彼女が手掛けるNFTについて解説しました。
本記事の要約
- Grimesは自身のNFTを数時間で約6億円売り上げたアーティスト
- GrimesのNFT作品は、現在二次販売されているためOpenSeaで取引が可能
- GrimesはAI市場にも関心を寄せており、NFTと絡めた活動展開が期待される
奇抜なファッションやイーロン・マスク氏との関係など、何かと話題となる動きをみせているGrimesですが、新たなテクノロジーの取り入れに対して積極的な姿勢を見せている人物です。
その証拠にNFTの売上ランキングのトップ10は、ほとんどが男性が占めている中、2021年にGrimesはただ1人、女性としてトップ10入りを果たしています。
ソロミュージシャンの活動だけでも大きな注目を集める人物ですが、NFTに関連した今後の活動にも注目したいところです。