2021年になって仮想通貨の世界ではNFTが注目を集めました。
そのNFTですが、世の中に急に出てきた存在のように感じる人も多いかもしれません。
そこで本稿では、今後も注目されていくであろうNFTの歴史について、詳しく時系列にまとめてみました。
NFTの歴史を知ることによって、どのように開発が行われてきたのかも理解できると思いますので、ぜひ最後まで読み進めてください!
NFTの歴史
ではNFTの歴史について簡単に見ていきましょう。
スタートとなったのは2012年で現在から9年前、つまり開発がスタートして10年が経過していないのです。
NFTを含めたデジタル関連の技術が、かなりスピーディーに行われているといえるでしょう。
その後、本格的に運用されるようになったのが2017年からです。
この2017年から本格的にNFTが運用されるようになり、様々な経緯を経て現在に至っているという認識で良いと思います。
そもそもNFTとは
NFTとは「非代替性トークン」のことです。
非代替性というのは替えがきかないもの、逆に、替えがきくものを代替性トークンと言います。
例えばお金を例にお伝えすると、千円札は代替が可能なので他のどの千円札とも交換できますし、時には硬貨に替えることもできる仕組みです。
これは「代替性トークン」になります。
対して、「非代替性トークン」であるNFTは、千円札でいうと記番号も含めたもの。
紙幣には記番号といって1つ1つに英数字を使った番号が使われていて、そのため千円札としての価値は同じであっても、その記番号が記載されているものは世界で1つしかありません。
なぜNFTは革新的な存在なのか
従来のデジタルコンテンツは複製などが簡単に行うことが可能でした。
ですが、NFTが開発されたことによって、そのデジタルデータは唯一無二のオリジナルであると証明されるようになりました。
その結果としてデジタルデータに所有権が発生、世界に1つしかないデータだと証明できると考えてください。
NFTを使えば希少価値を持つデジタルデータが生まれることになるため、様々な分野で応用できるのです。
NFTの歴史【黎明期】
NFTのスタートは2012年からになりますが、この時は本当に誕生の段階です。
その後に2017年から本格的な運用になるのですが、2012年市場拡大に至るまでにはどのような出来事があったのでしょうか。
まずは、2012年のスタートから2017年になって行われた運用にまでをまとめてみました。
2012年のカラードコインの試み
NFTの歴史を遡ると、2012年のColored Coins(カラードコイン)にたどり着きます。
Colored Coinsはビットコインで行われた試みです。
ビットコインの最小単位のsatoshiに色を付けることによって、所有者情報を紐付けしようという内容になります。
ただ、ビットコインが内部的に使っているプログラミング言語が、所有者情報の紐付けなどに対応するものではなかったのです。
その結果として失敗することになり、NFTの普及にはつながることはありませんでした。
2017年のERC-721のリリース
NFTが世に知られるようになったのは、2017年にリリースされた「ERC-721」が登場してからです。
ERC-721はイーサリアムに使われる規格の1つで、簡単にNFTを作ることができるようになりました。
事実として、同年にスタートされたゲーム「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」は、一躍人気になりました。
「NFTゲームが稼げるという噂を聞いたことがあるけれど、本当なのだろうか」「なにか面白いNFTゲームはないのだろうか」このような考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか。たしかにNFTゲームで稼ぐことはできますが、[…]
2017年のCryptoKittiesのゲーム
CryptoKitties(クリプトキティーズ)は、2017年にスタートしたゲームで、現在でもNFTゲームの代表格となっています。
シンプルなゲームなのですが、スタートしたばかりの頃は新しい技術への期待という意味で、プレイする人が多くいました。
内容としては、キャラクターとなる子猫を売買し、育成・交配させることによって自分だけの猫をコレクトしていきます。
売買と交配を行うだけのシンプルなゲームで、誰でも簡単に遊べるのが特徴でしょう。
翌年に日本発のMy Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)の登場
2018年にスタートしたのが「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」です。
ゲーム内で入手できるキャラクターや武器などが、NFTとして登録されているゲームです。
内容としては歴史上の英雄たちを集めて、武器を装備させて対戦させる内容となります。
ゲーム内通貨であるGUMを用いて、キャラクターの売買などができます。
My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)の影響
NFTの歴史を知っていくと見えてくるのですが、基本的には海外がメインとなる技術であるため、どうしても日本国内では知名度は低くなっていたのです。
そうした状況を変えたのが、「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」の登場。
NFTゲームと言えば海外産のものだったのが、国産のゲームができたことで大きく注目されました。
特に日本人にとっては言語の壁が大きく、元から日本語対応しているという点はハードルを低くした言えるでしょう。
仮装通貨の投資家が注目し始める
投資対象として仮想通貨が見られているのはご存知の方も多いはずです。
「億り人」といって資産が1億円を超えた人も続出、メディアで特集しているのは記憶に新しいところでしょう。
以前はNFTに関連する銘柄に投資する人は少なかったのですが、2021年になって投資家が一気に注目をし始めました。
なぜなら、大手企業が相次いで参入することになったり、NFT関連の銘柄も大手企業と提携するなどのニュースが続いたりしたからです。
OpenSeaの誕生との関係
NFTはゲームの分野でだけ注目されているわけではありません。
デジタルデータであれば、どんなものでも情報を書き込むことでNFT化できます。
そのため、あらゆるデジタルデータが取引の対象になるのです。
NFTの取引をする場所をマーケットプレイスと呼ぶのですが、その最大手となるのがOpenSeaになります。
スポーツ分野とnftの融合
NFTの歴史として知っておきたいのが、スポーツ分野です。
CryptoKittiesを開発した会社が2021年にリリースしたのが「NBA Top Shot」で、NBAと提携して話題になりました。
バスケの試合における名シーンを、短い動画にしたNFTを販売しているのです。
また、動画を購入した人が別の人に転売することも認めています。
他にも、スポーツトレーディングカードの老舗である「Topps」が、NFTの販売もスタートさせるなど歴史的な転換点とも言えるでしょう。
NFTの歴史【成長前期】
次にNFTの歴史として、2021年に入ってからの動きを見ておきます。
NFTの「成長前期」としていますが、2021年には世界中で大きな動きがいくつもあったのです。
投資家やインフルエンサー、企業や実業家など様々な人が参入した時期で、実際にサービスが開始して売買も行われて実社会に浸透し始めました。
これによって多くのテレビやメディアで話題になったことが、NFTの知名度を上げる結果につながったとも言えるでしょう。
2021年のOpenSeaの市場急成長
OpenSeaは2017年の12月からサービスをスタートさせています。
2021年までの月次取引量は約8億円ほどだったのが、あるニュースで話題になったことから翌月から約100億円になるまで成長を遂げています。
同年の3月、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏が出品したNFTに「初めてのツイート」があります。
このNFTがオークションの結果、約3億円で落札されたのです。
この話題になったニュースを含め、NFTが大きく注目を集めたのは2021年になってからです。
OpenSea
- 2017年12月にサービスをスタート
- 2021年3月にTwitter創設者ジャック・ドーシー氏が「初めてのツイート」をNFTとして出品
- NFT作品「初めてのツイート」が3億円で落札し話題となった
- このニュースをきっかけに月次取引が約8億円から100億円へ成長
イーロン・マスク氏が出品
テスラのイーロン・マスク氏もNFT作品を出品しています。
いわゆるテクノビートの音楽になるのですが、回転するトロフィーのアニメーションとともに見ることができる作品です。
このトロフィーには様々なテクノロジーに関連するモチーフが使われていて、それらを揶揄するような形の歌詞がつけられています。
この作品に1億円以上の値がついたことでも話題になりました。
元々、仮装通貨市場でTwitterからいくつもの発言をして話題になっていたイーロン・マスク氏の行動もさらに注目を集める結果になりました。
イーロン・マスク氏
- 元々Twitterで多くの仮想通貨について発言をして話題だった
- テクノビート音楽とアニメーションのNFT作品に1億円以上の値がつく
- より彼の行動には注目が集まっている
せきぐちあいみ氏の出品
OpenSeaに出品した有名人としては日本人のVRアーティストである、せきぐちあいみ氏。
同氏が出品したデジタルアート作品は、約1300万円の価格で落札されました。
デジタルアートにチャレンジする人は多かったのですが、これまではどんな作品であってもコピーされるリスクがあったと言えます。
ですが、NFTにすることでリスクをなくすことができたのです。
この結果によって、様々なアーティストがNFT作品をOpenSeaに出品しています。
VRアーティスト/せきぐちあいみ氏
- デジタルアート作品が約1300万円で落札
- コピーされやすいデジタルアートがNFTでリスクをなくせた
- これにより様々なアーティストがNFT作品をOpenSeaで出品
芸能人や有名人のNFT発行ニュースが増えてきた
せきぐちあいみ氏だけではなく、日本人でもNFT作品を出品する芸能人や有名人が増えているのが現状です。
例えば、芸人の西野亮廣氏や小室哲哉氏が自身の楽曲をOpenSeaに発表するとニュースになっています。
他にも、日本人でNFTを発行するアーティストは沢山いるのです。
まだ一般的な知名度は低くても、SNS上などで活躍しファンがいるアーティストも少なくありません。
そうしたアーティストがどんどんNFTを利用し始めています。
芸能人や有名人の参入
- せきぐちあいみ氏、西野亮廣氏、小室哲哉氏など
- SNS上などで活躍しファンがいるアーティスト
ツイッター創業者による世界初のツイート
Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏による世界初のツイートもNFTとして販売されました。
ただこのツイートは今でも誰もが閲覧できますし、複製することもできます。
ですが、NFTとして販売したことによって、このツイートの所有権を持つのは購入者になると考えてください。
つまり、デジタルのアートがリアルに取引される芸術作品と同じ扱いになったということです。
仲介業者の排除により健全化へ
「NFTによってデジタルなアートがリアルの芸術作品と同じになった」とお伝えしましたが、大きく異る点が1つあり、それは仲介業者の存在です。
名の知られていないアーティストが自身の作品を販売するためには、ギャラリーを通すことが多いでしょう。
ただ、ギャラリーに作品を置いてもらうだけでも審査などがありますし、売れても手数料が取られてしまいます。
NFTのマーケットプレイスなら作り手と消費者が直接的にやり取りできるので、健全化してきていると言えるでしょう。
IP-2981の提案
NFTには様々なメリットがありますが、デメリット面もあります。
その1つが、NFTマーケットプレイスのプラットフォームを横断した場合、ロイヤリティが発生しない点です。
同じプラットフォームであれば、ユーザー同士が行う二次販売でもNFTではロイヤリティが発生します。
ですが、二次販売はプラットフォームを変えると、ロイヤリティが発生しなくなるのです。
この課題を解決しようというのが「EIP-2981」の提案となります。
二次販売でプラットフォームを変えるとロイヤリティが発生しなくなる問題を解決しようというのが「EIP-2981」の提案です。
コレクションからサービスへ
これまで解説してきたように、NFTとは主にデジタルデータのコレクション性が強いと言えます。
ですが、あらゆるデジタルデータを取り扱うことができることから、様々な業界がNFTに参入しているのです。
今までは複製可能のただのデジタルコンテンツに、NFTによる所有権利・オリジナル性が生まれる事によって価値がついたのです。
その結果として、多くのコレクターの価値観も変わってきて、コレクションからサービスへと内容が移行してきています。
アクシーインフィニティの存在
アクシーインフィニティはNFTゲームの1つです。
このゲームが注目されているのは、プレイすることでお金を稼げるという点でしょう。
ゲームをする事によって仮装通貨を貰えるのですが、法定通貨に換金が可能です。
アクシーというキャラクターを育成し繁殖させ、対戦させていく内容で、アクシーを売買することでお金を稼げます。
ファッションブランド市場の参入
近年話題になっているのは「デジタルファッション」で、特に2021年はさまざまなデジタルコンテンツが公開されています。
ファッションの分野は現物があるので、NFTとは無縁と考える人も多いでしょう。
ですが、メタバースなどで利用するアバターなどに、実際にあるブランドが用意した服などのアイテムになります。
こうした動きが有名ブランドからも発表されているんです。
土地も取引できるようになった
NFTゲームではメタバース内の土地も売買できますが、実際の不動産業もNFTに参入してきているのです。
不動産の形の1つに分割所有があります。
1つの不動産に関する所有権を細かく分け、小口で所有権を持つことができる制度です。
主に不動産投資などで大きな物件を購入する時に利用でき、すでに多くの土地が売買されているのが現状です。
コインチェックもNFTに参入
国内で最大手とも言われる仮想通貨取引所のコインチェックが、国内ではいち早く自社でNFTマーケットプレイスをスタートさせました。
まだβ版ということもあり仕様が変わる可能性はあります。
ただ、取引所を運営しているので、口座を持っている人は所有する仮想通貨にて取引ができるのが特徴でしょう。
国際サミットの重要な発言をNFT化
OpenSkyBlueというマーケットプレイスを運営する会社は、G7やG20などの国際サミットにおける発言をNFT化すると発表しました。
世界の首脳が発表した言葉は、時間が経過した時にその意味を大きく持つかもしれません。
そうした貴重な発言を後世に伝えるのとともに、世界に価値を広められるのではという考えからのプロジェクトです。
NFTの今後の推測
NFTは、私たちの想像を超えるジャンルやクリエイトスキルによって世界中から注目を浴びています。
ジャンルとしてNFTはアートやゲーム分野からスタートしましたが、既に様々な業界がその利用価値を認めています。
中には世界的に有名な団体や企業なども含まれるほどで、ますますNFTの世界は広がっていくでしょう。
そんなNFTの将来性はどうなるのかをまとめてみました。
NFT市場の今後の拡大
中短期的に見ると、NFTの市場は今後も拡大していくと予測できます。
アートやゲームといった限定的なジャンルだけではなく、様々な分野の有名企業が既に参入を表明しているためです。
またNFTは歴史的に見ても、まだまだ発展途上であると言えます。
今後も技術が発展していくことが予測できますので、さらなるサービスが充実していくでしょう。
ここまでで紹介したサービス以外にも、バーチャル会議やVRオフィスなども既にスタートしているためです。
- NFTはまだまだ開発途上
- バーチャル会議やVRオフィスなども既にスタート
- 今後も技術が発展して更なるサービスが予測できる
意外と参入者数は増えていない現状
NFTの将来性は明るいといっても、意外とまだ新規参入者は増えていません。
特に日本人ユーザーの数は、ほぼ増えていないと言っても良いでしょう。
その理由として仮想通貨を利用しないといけないことや、サービスの中心が海外であるため日本語対応していないケースが多いことがあげられます。
そもそも仮想通貨を所有する日本人が少ないので、まだ一般的に見れば知名度が低いことは否めません。
特に詳しくない一般人の関心を引くには、もう少し現実化してからではないしょうか。
- まだ日本語未対応が多く仮想通貨を利用しなければならない
- 日本では知名度が低いため日本人ユーザーは増えていない
- 一般の人の関心を引くにはまだ時間を要する
NFTの利用価値の考え方
NFTはすべてのデジタルデータに対して発行できるもので、そのため利用価値はかなり幅広いものとなるでしょう。
ですが、新しい技術であるため馴染みが薄いことから、一般的にはまだ浸透していないのが実情です。
ただ近年のコロナ禍によって、現代社会は大規模な感染症に対して脆弱であることが判明しました。
そうした社会を、メタバースやその中で利用するNFTが変えていく可能性もあります。
前述したVRオフィスなどはその代表的な存在だと言えます。
- 全てのデジタルデータはNFT化が可能で利用価値は幅広い
- まだ馴染みが薄く一般的には浸透していない
- メタバースやNFTで社会を変えている可能性もある
NFTの歴史のまとめ
2021年になって次々とNFTに関するニュースがあったことから、急速に注目された存在だと言えるでしょう。
ですが歴史的に見ると、2012年の段階からスタートしている技術です。
本格的に運用されることになったのは2017年からですが、その短い期間に技術は大きく発展しています。
そのためNFTは中短期的に見れば、今後の見通しも明るいと言えるでしょう。
まだ注目されてから1年程度の技術ですので、歴史的に見ると新しい社会の構築がスタートしたとも見られる可能性があります。