イタリアの名門サッカークラブであるACミランと香港に拠点を置く仮想通貨取引所BitMEXが提携し、NFTコレクションをリリースすると発表がありました。
Valuesと名付けられたNFTコレクションは75,817点のNFTによって構成され、将来は特定のアクセス権やコンテンツが提供される特典もあるためファンから大きな注目を集めています。
そこで本記事では以下の内容について解説します。
- 名門サッカークラブACミランとNFT業界の密接な関係
- ACミランと提携した仮想通貨取引所BitMEXについて
- サッカー業界とNFTの今後の将来性について
本記事を読むことで、NFTがサッカー業界に与えている影響と今後の将来性について理解することができます。
サッカーについて知らない方にもわかりやすく解説しています。
ACミランが手掛けるNFTとは
イタリアの名門クラブであるACミランは、これまでNFTを通して以下2点の取り組みをおこなってきました。
- ファントークン保有者にNFTを配布
- ACミラン初のNFTコレクション
ACミランがNFT業界でおこなっている具体的な施策も含めて解説していきます。
ファントークン保有者にNFTを配布
2021年11月スポーツクラブとファンを繋ぐプロジェクトであるChilizは、イタリアの名門サッカークラブACミランのファントークンACM保有者に100作のNFTを無料配布しました。
配布されたのはイタリアのサッカークラブASローマとの試合の名シーンがNFT化された限定100点の作品です。
そして配布対象となったのは以下の条件を満たすユーザーでした。
- Chilizが提供するSocios.comアプリ内のウォレットに10ドル以上のACMトークンを保有
- Socios.comアプリの試合予測機能「プレディレクター」でASローマ戦の結果を的中させたファン
NFTの配布をおこなったChilizは、あらゆるファントークンを取り扱っている仮想通貨取引所であり、ACMトークンもChilizに上場している仮想通貨です。
ACミランとChilizはACMトークン発行当初より、トークン保有者に限定グッズやコンテンツを提供する特典を付与するとアナウンスしていました。
2022年5月現在ACMトークンの価格は約500円ですが、上場直後は2000円台まで急騰をみせるといった人気の高さを伺わせます。
2021年11月に配布されたNFTはACMトークンの保有特典をみたすイベントとなり、ACMホルダーや投資家だけでなくサッカーファンにも注視されました。
ACミラン初のNFTコレクション
イタリアの強豪クラブACミランと仮想通貨取引所BitMEXがコラボし、75,817作品にもなるNFTコレクションがリリースされると2022年4月に発表されました。
Valuesと名付けられたNFTコレクションは7つの作品によって構成されており、デジタルアーティストのPanesousによってNFT化されます。
NFTコレクションValuesの象徴的なNFT作品は、深く傷ついたACミランのレプリカユニフォームなのですが、このユニフォームがNFTコレクション誕生のきっかけです。
話を遡ると、有名な戦争写真家Jan Grarup氏はナイル川沿いの運河の村でACミランのレプリカユニフォームを着た少年と出会います。
現地環境の過酷さと少年の情熱を表し深く傷ついたユニフォームを見たJan Grarup氏は、少年にユニフォームを譲ってもらうよう交渉しACミランに寄付することになりました。
‘It’s about survival, it’s about the love of football’
While photographing the damage of Sudan floods, Danish war photographer Jan Grarup, noticed a boy playing football in a completely destroyed AC Milan shirt. pic.twitter.com/tddkPSI6wz
— Classic Football Shirts (@classicshirts) December 17, 2021
寄付されたユニフォームは現在、ACミランの本拠地でもあるミラノのロッソネリ本社にあるモンドミラノ博物館に保管されています。
ユニフォームとの経緯を知ったACミランは、現代の技術でユニフォームを譲ってくれた少年との物語とユニフォームを残すためにNFT化を決めることとなりました。
ACミランのNFTコレクションは2022年4月にローンチされたFanseaと呼ばれるNFTプラットフォームで作成・販売。
またNFTコレクションの販売収益はACミランの慈善事業部門であるFondazione Milan(ミラノ財団)へ寄付され、イタリア及び世界中の慈善活動を支援するといいます。
ACミランと提携したBitMEXとは
BitMEX(Bitcoin Mercantile Exchange)は香港に拠点をおく仮想通貨取引所であり、一時期ビットコインの取引高が世界一となるほどユーザーに支持されていました。
100倍を上限とした仮想通貨のレバレッジ取引がおこなえる特徴を有しており、現在も多くの仮想通貨ホルダーによって利用されています。
そして世界各国のユーザーに利用されている仮想通貨取引所BitMEXとACミランは2021年8月10日、複数年にわたるスポンサー契約を結びました。
契約後は世界中に5億人以上のファンを有するACミランのユニフォーム左袖にBitMEXのロゴがプリントされ、より多くのサッカーファンに認知されることになりました。
NFTとサッカー業界の今後の将来性
2022年5月現在、国内問わずNFTとサッカー業界の関係性は徐々に広がりをみせています。
たとえば、世界的に有名な名門サッカークラブのFCバルセロナのJoan Laporta(ジョアン・ラポルタ)会長は、NFTの発売やメタバースの開発を計画していると明かしています。
またFCバルセロナからパリ・サンジェルマンへ移籍したアルゼンチン代表のリオネル・メッシは、ブロックチェーンを活用したファンエンゲージメントアプリを提供するSocios(ソシオス)と契約。
クラブとの契約だけでなく、ブロックチェーンやNFT業界企業との契約によって年収が増加し、世界トップ10の年収を獲得しているといいます。
そして国内においては2021年2月、国内最大級の仮想通貨取引所Coincheckとサッカークラブとファンをつなぐ仮想通貨プロジェクトChilizが提携。
Chilizが構築するプラットフォーム「Socios.com」で利用できるNFTを、CoincheckのNFTマーケットプレイスにおいても取り扱えるよう検討を開始しました。
ほかにもインターネット関連サービスを多角的に提供する楽天が、2022年4月より独自のNFTマーケットプレイスでJリーガーのデジタルアートの販売を開始。
2021年から2022年にかけてNFTとサッカー業界は深い関わりをもつようになってきました。
とはいえ現在国内のNFTホルダーはごくわずかと言われており、国内市場の盛り上がりは始まりの一途に過ぎません。
NFTによるキャピタルゲインを狙うのであれば、今後価値が付帯するであろうNFTを見極めたうえで購入する必要があるため、新しい情報や動向に注目したいところです。
ACミランのNFTコレクションまとめ
本記事ではイタリアの名門サッカークラブと仮想通貨取引所BitMEXがリリースしたNFTコレクションについて解説しました。
本記事の要約
- 強豪サッカークラブACミランはこれまでファントークンACMの保有者にNFTの無料配布をおこなっていた
- Valuesと呼ばれるACミランのNFTコレクションは、Fanseaと呼ばれるNFTプラットフォームで購入可能
- 国内外問わず、NFTや仮想通貨業界へ参入しているクラブや選手は多数存在する
ACミランがリリースしたNFTコレクションの保有者は、将来新しい機能や独占コンテンツを利用できる権利を実装しています。
2021年におこなわれたファントークン保有者へのNFT無料配布のように、NFTコレクションValuesの保有者に希少価値が高い特典が付与される可能性があるかもしれません。
またACミランのような情熱的なファンが多数存在するクラブが発行するNFTであれば、今後NFTの価値が上がる余地も十分にあるでしょう。
今後もあらゆるクラブや選手がNFT業界へ参入してくる可能性があるため、新しい情報に注目したいところです。