「アールビバン」に浮上した世界的マリン・アーティストとのトラブル

催事で版画作品を展示販売がメーンの「アールビバン」(7523。JQ。東京都品川区)は3月22日、約6年間の同社の有価証券報告書などを訂正したとIRした。
同社は2月10日、2016年以降の売上原価の一部に計上漏れが判明したとして決算の訂正を行う必要があるとIR。1社の取引先から支払いの漏れがあるのではないかとの確認を受け社内調査した結果で、同日、社内調査委員会を設置したともIRしていた。その報告書が3月22日に出たことを受けてのことだ。
その有価証券報告書の訂正内容だが、純利益で見た場合、例えば2018年3月期は約22%、金額にして約1億2000万円の減少、20年3月期は約27%、金額にして約1億6000万円の減少。
年商が21年3月期約78億円、純利益はこの5年で見た場合に5億円台から10数億円の同社にとって総額6億8800万円の計上漏れがかなりの大きさで、同社の株価は前述の2度のIRを受け、かなりの下落をしている(冒頭写真=アールビバンの株価チャート)。
 もっとも、その後、株価は再び上げに転じており、同じ3月22日の「再発防止に関するお知らせ」通り実行されれば大丈夫とも思われる。
だが、本当にそうなのだろうか?
アールビバンは計上漏れがあった取引先を公表していないが、それは本紙に寄せられた内部情報によれば米国人画家のクリスチャン・ラッセン氏(66)。
ハワイ在住の元プロサーファーで、ハワイの海中風景やイルカなどの海洋生物を主要なモチーフに南洋の自然をきらびやかな画風で描き「マリンアート」と称される(上右写真は作品の一つ)。特にバブル時代の日本で人気を博した。

アールビバンはそのラッセン氏と1989年に販売契約を締結。
2016年にはそのラッセン氏と「日清食品」は、インスタント食品「どん兵衛」のCMでコラボ(左写真)。また、19年には仙台うみの杜水族館に作品を出すなど未だに根強い人気を誇り、アールビバンの売上に大きく貢献している。
ところで、今回の計上漏れはあくまで「担当者の引継ぎミス」とされるが、本紙が得た情報では、会社ぐるみの隠蔽の結果というのだ。


「アールビバンはラッセン氏の各作品の最初の発注代金しか支払わず、実際に売れた原画・版画の仕入れ代金を支払っていなかった。それで2018年ごろ、ラッセン氏は野澤克巳会長兼社長(右写真)に問合せしているが、野澤氏はラッセン氏の版画は売れていないと回答。20年にはラッセン氏の著作権管理会社が販売実績を問い合わせしているが“回答する義務はない”と拒絶されています。それでますます不信感を抱いたラッセル氏側が弁護士も入れ粘り強く交渉した結果、今年1月11日、ようやく3億円の未払いがあったと認め謝罪。しかし試算より少ない額だったことから再調査を依頼し続けた結果、2月7日にさらなる未払いがあると認め、社内調査委員会の立ち上げとなったのです」(事情通)
しかも、本紙の元には事実とすれば実に重大なさらなるこんな情報も届いている。
「不信感を抱いたラッセン氏側は、すでにアールビバンとの販売契約を解除しています。契約解除は3カ月前に通知しなければならず、通知したのは昨年10月。解除になったのは今年1月27日。新たな販売代理店はD社です。
にも拘わらず、アールビバンは未だに契約解除したことをIRしていない。これは適時開示違反になるのではないでしょうか?」(同)
しかも、ラッセン氏の売上高は多い時、アールビバンの売上高の実に半分近くを占め、未だにかなりの売上を占めているというのだ。

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