トークンとは?特徴や仮想通貨との3つの違いを具体的に解説

仮想通貨について詳しく調べていると、しばしば「トークン」という言葉を見ることも多いのではないでしょうか。

仮想通貨業界だけではなく近年話題になっているNFTにも、大きく関わってきます。

しかし、実際にどのようなものかをイメージできても、それが何を意味しているかがわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事ではトークンがどのようなものであるのかといったことや、仮想通貨との具体的な違いや投資を行うメリットなどを徹底的に解説します。

トークンのことを具体的に知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

トークンの言葉の意味

トークンという言葉は「しるし」「象徴」などの意味で使われることが一般的です。

ただし、業界によって別の意味の専門用語として使われていることもあり、特に金融業界ではさまざまな意味で用いられています。

たとえば、キャッシュレス関連では「デジタルマネー」を指すこともあり、ネット決済やクレジットカード決済の際に使われる「認証デバイス」も該当します。

さらに、カジノで使われるチップやギフトカードのような商品を購入できるものも当てはまるでしょう。

このように、トークンはさまざまな場面で使われており、1つの価値に対して代替えとなるものやサービスを利用するための鍵としての意味を持ちます。

お金の代わりに、商品やサービスの購入に利用できるもののほとんどが該当するため、図書カードやポイントカードなども含めると実は身近に数多く存在しています。

また、仮想通貨業界でもよく用いられています。

トークンの3つの特徴

ここからはトークンの持つ3つの特徴を紹介します。

特徴①:発行者や管理者が存在する

トークンは企業や個人が発行するものであり、発行者や管理者が存在します。

ただし、発行者に関しても一度発行したものの発行量を変更できないという特徴もあります。

さまざまな場面で使われることが多いですが、流通量はあらかじめ決められているものと考えておくとよいでしょう。

特徴②:個人や法人問わず発行できる

基本的に、トークンは企業・個人を問わず誰でも発行することができます。

株式の場合は上場の際に証券会社が仲介に入る必要がありますが、トークンは仲介となる第三者が不要でありそのまま直接発行が可能です。

この仕組みを利用して、仮想通貨の業界ではサービスの利用にともなって多くのトークンが発行されています。

特徴③:独自の価値付けがされている

トークンは通貨としての価値にくわえて、そのほかの特典や価値を持つように設定されていることもあります。

具体的には、特定のサービスで利用できるもの、サービス・プラットフォームの運営や議決権をもつものなどが存在します。

イメージとしては、株式保有することで得られる優待やポイントカードに相当する特典などを想像するとよいでしょう。

このように、独自の価値付けがされていることも特徴の1つです。

仮想通貨の世界におけるトークン

仮想通貨業界でのトークンとはすでに発表されているブロックチェーンを用いて、発行された仮想通貨を指します。

通常、仮想通貨は銘柄ごとに固有のブロックチェーンを利用しています。

たとえばビットコイン(BTC)にはビットコインの、そしてイーサリアム(ETH)にはイーサリアムのブロックチェーンを用いています。

ブロックチェーンはそれぞれに対応する仮想通貨の取引を記録しており、これは仮想通貨の前提となる基本的な仕組みです。

対して、トークンは既存のブロックチェーン上で新たに生成された仮想通貨のため、発行がしやすい点が特徴となっています。

その目的はさまざまあり、基本的には利便性を上げるために特定の企業や個人から発行・管理がされているのです。

一般的な仮想通貨とトークンの3つの違い

 

一般的に流通している仮想通貨との違いについては、これまでも軽く触れてきましたが、具体的にはどのように異なるのでしょうか。

ここからは具体的な違いを3つ紹介します。

違い①:発行プロセス

違いの1つとしては主に発行プロセスの違いが挙げられます。

仮想通貨を発行するためには、膨大なデータを計算処理するマイニングという作業を行います。

一方で、トークンはすでに発行されている仮想通貨のブロックチェーンを用いて発行されるため、マイニングが行われません。

誰でも簡単に生み出せるという点では、仮想通貨と大きく異なります。

違い②:用途

利用する用途が異なる点も、大きな違いとなります。

仮想通貨には投資や決済などさまざまな用途が存在します。

しかし、株式やポイントカードに相当するような特典は存在しません。

仮想通貨を多く保有していたとしても、必ずしも株式の保有で得られる優待のように特典を受けられるわけではなく、あるいは代金を割引できるといったサービスもないのです。

違い③:発行上限

仮想通貨は発行数に上限があるものが多いですが、トークンは発行上限が設けられていないものが多い傾向にあります。

そのため、発行数の上限の有無についても異なっている部分といえるでしょう。

ビットコインは最大で2,100万BTCしか発行できず、上限になると発行ができなくなる仕組みになっています。

このような制限がトークンにはないため、発行者が状況に応じて総数を増減させることが可能です。

よく利用されている主なトークン4種類のタイプ

トークンにはさまざまな種類があり、主に4つのタイプに分類できます。

以下に、代表的な4つの種類とそれぞれが持つ特徴を紹介します。

①:カレンシー

カレンシータイプとは通貨としての幅広い用途を想定して発行されたものであり、代表的なものとしてはイーサリアムやビットコインなどが挙げられます。

たとえば、ビットコインは日本円といった現物の通貨とは違い、中央管理者を必要とせず、発行上限やマイニング報酬などがコントロールされています。

あらかじめ通貨の総量や供給量が決められており、発行者の意思で増減させられない点が大きな特徴です。

②:ユーティリティ

ユーティリティタイプとはサービスに対して、特定の実用性を持ったものです。

利用券のようなものをイメージするとわかりやすいかもしれません。

たとえば、映画のチケットや投票所の入場券、ソフトウェアのライセンスキーなどが挙げられます。

つまり、一つのチケットやライセンスキーにそれぞれ、「映画を観る権利」・「投票する権利」・「ソフトを使う権利」を与えているということになります。

ユーティリティタイプは実用的な権利を遂行する役割をもっているため、用途がはっきりしているものであるといえるでしょう。

③:アセット

アセットタイプとは実在する資産に連動する仮想通貨であり、Peg通貨とも呼ばれます。

一般的な仮想通貨の発行形態と異なり、中央管理者としての発行者が存在しており発行枚数を自在に決めることができる、いわば株式のような性質を持ちます。

たとえば、アメリカドルに裏付けられたUSDTやUSDCなどはアセットタイプだといえるでしょう。

また、ベネズエラの政府が原油に関する独自の仮想通貨を発行を行いましたが、こちらに関してもアセットタイプといえます。

④:セキュリティトークン

セキュリティトークンとはブロックチェーンを活用して、株式や債券といった有価証券をデジタル化したもので、アセットタイプの1つともいえます。

実際に使われた事例としては2020年3月に、野村総合研究所が「デジタル債」と「デジタルアセット債」と呼ばれる2種類のセキュリティトークンを発行しました。

ブロックチェーンを活用しているため、従来よりも債券を購入した投資家をより明確にしやすくする効果があり、取引の透明化を図れる点が特徴です。

また、取引を明確にする以外にも、さまざまな法令を守る必要があるといった特徴もあります。

トークンと関係性の深いICOとは

ICOとは資金調達をしたい企業が、独自の仮想通貨を発行することで資金を調達する手段のことです。

具体的な仕組みとしては投資家に、デジタル通貨としてのトークンを購入してもらいます。

しかし、原則として対価は支払われない仕組みになっています。

株式を利用した従来の資金調達の手段であるIPOとは別の手段として注目を集めています。

ICOは特に信用力や与信能力が低い新興企業が用いる手段です。

新興企業が株式や債券で資金調達をすると、借入利率が高くなる場合や十分な資金を調達できない可能性が考えられます。

ICOはこういった問題点を解消し、比較的容易に資金調達が行えるのです。

トークンに投資する3つのメリット

ここからはトークンに投資する3つのメリットを紹介します。

メリット①:利益を得られる

トークンに投資する大きなメリットとしては、利益が見込めることです。

購入したときの価格から値上がりしたタイミングで売却することで、その差額を利益として獲得できます。

株式や債券などへの投資と同じように、安い価格で手に入れて高い価格で手放すことが基本となります。

発行したときから何倍もの価格に値上がりしたものは数多く存在し、投資家にとっては大きな利益を獲得できるチャンスのある投資先といえるでしょう。

メリット②:対応するサービスでの利用が可能

ICOを利用してトークンを得た際、特定のサービスで使えることがあります。

それぞれの種類で利用できるサービスや用途は違いますが、ゲームで利用できるものや特定の取引所でほかの通貨と交換できるものなどが存在します。

メリット③:少額から投資ができる

仮想通貨の取引所によって最低限必要な通貨量は違いますが、トークンは比較的少額での購入が可能ため、投資がしやすい点も大きなメリットです。

株式と比較しても少額から購入できるので、投資の初心者でも気軽に購入しやすいでしょう。

ただし、日本円ではなく仮想通貨による購入のケースが多いので、まずは仮想通貨取引所でビットコインやイーサリアムなどの通貨を購入するといった準備が必要です。

なお、仮想通貨を購入するには取引所での口座開設やさまざまな手続きが発生します。

トークンに投資するときの3つの注意点

ここまでで、トークンに投資することでいくつかのメリットを受けられることを紹介してきましたが、投資をする際にはいくつかの注意点も考える必要があります。

以下に、実際に投資する際に気を付けたい3つの注意点を紹介します。

注意点①:ICOの法整備が十分ではない

資金調達の方法の1つであるICOは実際に利用され始めてから日が浅いため、法整備が十分に整っていません。

悪徳な業者やグレーな運営をしているICOも存在するため、悪質な手口に遭遇しても自己責任であることを念頭に置く必要があります。

また、今後法律が整ってくると、ICOによる資金調達が難しくなる可能性があるともいわれています。

ICOや法整備に関しては、随時新しい情報を取り入れるようにしましょう。

注意点②:損をする可能性がある

株や債券などの投資と同じようにトークンの価格も日々上下しており、暴落すれば価値がなくなってしまい損してしまう可能性があります。

しっかりと下調べをせずになんとなく始めてしまうと、大きな損害を被る可能性も考えられます。

投資をする際には発行元となる会社の成長性や事業の実現可能性などを見極め、投資先を決めるようにしましょう。

注意点③:詐欺のリスクがある

ICOは容易に資金調達できるうえ、法整備がしっかりとしていないこともあり、詐欺に利用されるリスクがあります。

2017年には実際に詐欺目的のICOが乱発しました。

詐欺に引っかからないためには、ICOやトークン周辺の知識を十分に身に付けることが重要だといえるでしょう。

また、「高配当」や「高利率」などの誇張表現に引っかからないよう、注意して投資をすることも重要です。

トークンと仮想通貨の違いは既存のブロックチェーンを使っているかどうか

いかがでしたでしょうか。

トークンにはさまざまな意味合いがあり、主に「しるし」「象徴」という意味合いを持ちます。

仮想通貨業界に限らずさまざまな業界で使われており、「デジタルマネー」「認証デバイス」「商品の引換券」など、特に金融業界では多方面で使われることが多いです。

そして、仮想通貨業界においては既存のブロックチェーンを用いて発行された仮想通貨のことを指します。

仮想通貨は銘柄ごとに固有のブロックチェーンを利用しているため、発行のプロセスが異なるといえるでしょう。

また、トークンは誰でも発行できる一方で、仮想通貨はマイニングという膨大な計算処理を得て発行されるという発行プロセスの違いもあります。

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