「メタバース(仮想空間)」は、2021年より徐々に注目が集まってきており、今後大きな成長をみせる可能性がある期待市場です。
そんな中、2000年代にブームとなったSecond Life(セカンドライフ)をあなたはご存知でしょうか。
数々のメディアを通して話題となり、いつの間にか我々の目の前から消え去ってしまった仮想空間とアバターたちです。
メタバースのサービスを提供する企業が増えているなか、Second Life(セカンドライフ)の存在を思い出すユーザーも少なからず存在するでしょう。
そこで本記事では、以下の内容について解説していきます。
- Second Lifeが構築していた仮想空間について
- Second Lifeが大きな注目を集めた理由
- Second Lifeが失敗に終わってしまった3つの理由について
Second Lifeについてご存知ではない方にも、わかりやすく解説していきます。
Second Life(セカンドライフ)とは
Second Life(セカンドライフ)とは、アメリカのLinden Lab(リンデンラボ)が2003年にサービスを開始した仮想空間プロジェクトです。
ユーザーはインターネット上に構築された仮想空間内で、自分のアバターを操作して他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、街を散策したりできます。
Second Lifeの仮想空間内では、「Linden Dollar(リンデンドル)」と呼ばれる仮想通貨が流通しており、買い物や商品の販売、不動産を取り扱うなど自分の経済圏を持つことも可能でした。
Linden Dollarの入手方法の一例は以下のとおりです。
- オークションで購入
- 店舗経営
- 不動産運用
- アルバイト
- 資産運用
当時、仮想空間サービスを提供する企業は決して多くはなく、Second Lifeは市場を代表する企業としても注目を集めるようになりました。
また、Second Lifeは現在もサービスを提供しており、公式サイトへアクセスすることで簡単にユーザー体験をおこなえます。
Second Life(セカンドライフ)が注目された理由
Second Life(セカンドライフ)がブームといわれるようになったのは2006年頃からであり、数々のメディアや企業の参入によって注目が集まりました。
特に話題となったのはSecond Life内で起きた不動産売買であり、アンシェ・チェン氏というユーザーが仮想空間内の400以上の島へ投資した結果、100万ドル以上の利益を獲得しました。
結果、アメリカのビジネス誌「BusinessWeek」の表紙に掲載され、Second Lifeの認知度は急増し月間アクティブユーザー数は約100万人にものぼりました。
また数々の大学や企業もSecond Lifeへの関心を示し、IBMやDELLは仮想空間内に拠点を設置するなどして積極的な参入をみせました。
日本国内においては日本経済新聞への掲載がキッカケとなり、国内最大級の広告代理店である電通は、Second Life内に複数の島を保有して「バーチャル東京」と呼ばれるスペースをオープンしました。
Second Life内に拠点を設置することはなかったものの、Amazonのジェフ・ベゾス氏が注目するほどのサービスとなり、Second Lifeの名前はとてつもない勢いで世界へ広がりました。
Second Life(セカンドライフ)が失敗した理由
数々のユーザーや企業が参入したSecond Life(セカンドライフ)ですが、期待した結果を得られるユーザーは決して多いとはいえず、ブームは急に過ぎ去ってしまいました。
Second Lifeはなぜ失敗に終わってしまったのでしょうか。
以下3つのポイントから解説します。
- 求められるPCスペックが高く操作が難しかったから
- ユーザーが集まれるイベントがなかったから
- 費用がかかってしまうから
1つずつわかりやすく解説していきます。
理由①求められるPCスペックが高く操作が難しかったから
Second Life(セカンドライフ)をプレイするためには、ハイスペックPCと光回線レベルのインターネット環境が必要であり、決して手軽にプレイできるサービスではありませんでした。
PCからディスプレイに映像を映し出すためのビデオカードと呼ばれる拡張パーツは、Second Lifeの基準を満たすものである必要がありましたが、エラーメッセージが表示されるユーザーが後を絶たなかったといいます。
また、Second Lifeを始めるためには専用のソフトをダウンロードしてユーザー自身が設定する必要がありました。
加えて、専用ソフトは度々アップデートされるため、そのたびにソフトをダウンロードし直す必要があり、非常に大きな手間を要してしまいます。
そして高い参入障壁をクリアしてプレイすることになっても、操作方法が難しいためユーザーの離脱が非常に多いサービスとなってしまいます。
理由②ユーザーが集まれるイベントがなかったから
Second Life(セカンドライフ)は、仮想空間内で他のユーザーとコミュニケーションがとれるサービスでしたが、ユーザー同士が集まるきっかけとなるイベントがありませんでした。
つまり、現代のメタバースで開催されている講義やライブイベントなど、仮想空間内におけるユーザー共通の目的が存在しませんでした。
無料メタバースサービスのClusterは、目的別にイベントルームのような空間をつくり、URLで空間を共有することができます。
さらに空間内には1000人程度までユーザーが同時アクセスできますが、当時のSecond Lifeでは、シムと呼ばれる1つの空間に最大50人までのアクセスが限界でした。
ユーザー同士が集めれる環境がなかったことや目的を見いだせないプレイは、「飽き」を生んでしまい、熱狂的なファンを除いて多くのユーザーが離れる結果となりました。
理由③費用がかかってしまうから
Second Life(セカンドライフ)内でプレイして遊ぶためには、Linden Dollar(リンデンドル)と呼ばれる仮想通貨が必要でした。
Linden Dollarの用途は、アバターの着せ替えや不動産の購入など多岐にわたりますが、オリジナルアイテムを生成するため画像をアップロードする作業に対しても費用が発生してしまいます。
無料のインターネットサービスであるmixiやYouTubeが検索ワードとして上位を占めていた2007年当時にとって、有料のインターネットサービスはユーザーの関心を惹く対象とは成り得ませんでした。
サービスの内容にも左右しますが、無料と有料のサービスであれば当然前者を選択するユーザーが大半であり、Second Lifeが選択されることが少なくなってしまいます。
料金を支払ってまでメタバースを利用するほど、ユーザーや世間の理解は得られていなかったためSecond Lifeの存在感は徐々に衰退してしまいました。
Second Life(セカンドライフ)が失敗した理由まとめ
本記事では、2003年にリリースされたメタバースサービス「Second Life(セカンドライフ)」が失敗した理由について解説しました。
本記事の要約
- Second Lifeは当時、数々の企業から注目され多くのメディアを通して急速に成長したメタバース
- Second Lifeが失敗した理由は大きく3つあり、ユーザーの参入障壁も高かった
- mixiやYouTubeが普及してきたタイミングでもあったため、比較されて選ばれなかった可能性も大いにある
Second Lifeは失敗に終わったと言及してきましたが、現在もサービスは継続しており公式サイトにアクセスすればプレイ可能です。
もちろん、当時の改善点は修正したうえでサービスを提供していますが、デザイン面やサービス内容など今後も改善余地があるサービスです。
とはいえ、メタバース自体は今後成長が期待できる市場であることは間違いないため、Second Lifeも含めて市場の動向に注目していきましょう。