2021年に「NFT」が大きな話題を生み、SNSでは毎日のように取り上げられていました。
しかし、そんなNFTにも複数の問題点があり、その危険性についても示唆する意見があるのも事実です。
実際に詐欺的なNFT作品も登録され始めていて、他にもNFTが危険とされる点はいくつもあるのが現状。
そこで本稿では「NFTの危険性」と「危険性・問題点の解消方法」について詳しく解説していきます。
危険性を知らないまま流行りに乗って手を出す前に、一度しっかり情報を入れておきましょう!
そもそもNFTは?
NFTとは「非代替性トークン」のこと。非代替性というのは「替えがきかない」という意味です。
従来のデジタルデータは簡単にコピーができることから、そこに対して資産的な価値が生まれにくいものでした。
ですが、ブロックチェーンに情報を書き込むことによって、そのデータがオリジナルのものだと証明できるようになったのです。
また、ブロックチェーンはユーザーが持つコンピューターで分散的に管理を行なっていることから、改ざんが実質不可能な状態になります。
そのため「デジタルデータに対して価値を生むもの」がNFTと考えて良いでしょう。
関連記事:NFTとは?仮想通貨の違いやNFTの特徴、将来性や活用事例まで徹底解説!
NFTは危険なのか?危険と言われる8つの理由
誕生してから日が浅いNFT技術の世界で「本当に問題はない世界なのか」を予め知っておく必要があります。
NFTが世間的に注目されるようになり、様々な問題点を指摘する人も出てきました。
こうした問題点を事前に知っておけば後から後悔することを防げるので、ここで理解しておきましょう!
①:法整備や契約書がない
急速に技術が発展していきなり大きな市場となったこともあり、法整備などの点がまったく追いついていません。
NFTの技術自体は2012年からスタートし、本格的に運用されるようになったのは2017年で、さらに大きく世間の注目を集めたのが2021年になります。
また、NFTの世界には書面の契約書はなく、ブロックチェーン上に情報を書き込むことが契約書と言えます。
しかしNFTが注目されたことにより、国内でも分科会が発足するなど法整備も進んでいくと予測できます。
②:ポンジスキームの危険性
NFTにはポンジスキームの危険性があります。
ポンジスキームとは高配当の利回りとなる投資案件として紹介されるものの、実際には出資者から集めたお金を使って配当を賄う詐欺を指します。
資金を運用しているわけではないので、新しい出資者がいなくなると配当の支払いが滞ってしまうため、結果として破綻してしまうのです。
例えば、NFT関連銘柄について投資を勧めておきながら、裏ではこうしたポンジスキームを行なっているという可能性は十分に有り得る話です。
③:アーティスト間のトラブル
3つ目の問題点としてデザインの盗作や悪意のある詐欺的な商品が出回っている点です。
データの改ざんが難しいのがNFTの特徴ですが、そもそものデータが盗作であった場合はどうにもなりません。
また、他のクリエイターの作品を勝手にNFT化して販売しているケースなどもあります。
こうしたリスクを避けるには思いつきで購入するのではなく、アーティストのSNSなどを見て情報を集めた方が良いでしょう。
④:NFT制作時の電力負荷
NFT製作時の膨大な電力負担が掛かっている点も問題点として挙げられます。
NFTはブロックチェーン上に情報を書き込むことで作成され、プルーフ・オブ・ワークというシステムで行なっていますが、これには膨大な計算処理が必要になります。
この計算処理は分散して行われているものの、電力消費が大きく、電力の負荷が大きい点が環境への配慮とかけ離れているのも事実でしょう。
ただ、NFTに使われるイーサリアムも環境負荷を改善するために開発を続けていますし、イーサリアムの代替として環境負担の少ないPolygon(MATIC)などのセカンドレイヤーの開発も行われています。
NFTの基盤として注目を集めているイーサリアム。しかし、イーサリアムを利用したNFTなどのサービスが増えることで、スケーラビリティの問題(後に解説します)が出るようになりました。くおりん スケーラビリティについては[…]
⑤:NFT作品の無価値化
NFT取引に利用されるのは主に仮想通貨で、法定通貨のように安定した価値がありません。
今日は1万円の価値でも、明日には1000円の価値しかなくなることもあれば、逆に10万円という価値になることもあります。
そのため、NFT作品の価値そのものが仮想通貨の価値と連動して、無価値になるリスクもあります。
⑥:バブル市場の崩壊の懸念
有名なNFT作品にオークションで何億円という価値がついていることからも現在バブルであるのは明らかです。
しかし、バブル崩壊後に価値が安定してくるのかは不明なところです。
バブル崩壊後に誰もNFTや仮想通貨に寄り付かなくなる可能性も十分にあります。
⑦:意外と現金化できていない
NFTの価格が高騰している理由に、取引に使用される仮想通貨が現金化されていないという理由も考えられるでしょう。
仮想通貨の取引は基本的にユーザー同士で行うものなので、仮想通貨を買って保有したいという人がいないと現金化できません。
そうした状況でNFTが新しい銘柄として出てきたため、現金化できない仮想通貨を所有する人たちが取引しているだけとも言えるでしょう。
⑧:マネーロンダリングの温床の場に
マネーロンダリングは法律で規制されているのですが、現状ではNFTなどの分野では規制が追いついていないため、犯罪者からすれば使い勝手が良いと言えるでしょう。
マネーロンダリングとは、犯罪や不正行為などで得た資金を正当な取引で入手したというように偽装する行為のことです。
とはいえ、基本的に仮想通貨のブロックチェーンは取引の記録がすべて残り、マネーロンダリングを行うのが難しいとされています。
NFTの危険性や問題点を解消する方法
ここからは上記で挙げたNFTの危険性や問題点を解消・解決する方法をご紹介していきます。
正しいNFT取引の方法を知ることで、詐欺などのトラブルに巻き込まれずに済みます。
NFT取引を始めようと考えている方は、しっかりと内容を理解してから始めるようにしましょう!
安全なマーケットプレイスの選択
NFTの取引にはマーケットプレイスという市場を利用しますが、本人確認をしっかりと行なっている安全なプラットフォームを選択するようにしましょう。
本人確認をしないようなマーケットプレイスの場合、知らないうちにハッキングされたり、悪用されているかもしれません。
また、本人確認を行わないことから詐欺的なNFT作品なども出品されている可能性があります。
グーグル検索からアクセスしない
グーグル検索のトップに出てくるのは広告で、公式サイトのような文言が書かれていたとしても、実際は別のURLとなっている可能性もあるため危険です。
悪質な場合は、ログイン情報や暗号資産を抜かれてしまうかもしれません。
サービスを利用する時は、公式サイトをブックマークするか、公式SNSに記載されているリンクから飛ぶようにしてください。
安易なクリックは踏まない
NFTについてSNSで発信していると、知らないところからDMが届く場合があり、DMの中にリンクが掲載されていた場合は安易にクリックしてはいけません。
ただのイタズラや宣伝でも迷惑ですが、悪質な場合はウイルスに感染してしまう可能性があります。
安易にリンクを踏んでしまうと、最悪はフィッシングサイトに繋がっているかもしれません。
DMがきても、知らない人が相手の場合はリンクを踏まないようにしましょう。
出品側を調べてから購入
購入する前に詐欺のようなNFT作品出ないかどうか、出品側をよく調べてから購入しましょう。
なかなか見極めるのが難しい場合もありますが、多くの場合は出品者のSNSを調べることで見極められます。
明らかにアカウントが作ったばかりで何の情報も発信していないなどのケースだと、信用しない方がいいでしょう。
ガス代を確認すること
NFTを利用する時に気をつけたいのが、ガス代と呼ばれる手数料は必ず確認しておきましょう。
イーサリアムのブロックチェーンは、NFTだけではなく様々なことに活用されています。
そのためユーザーの数も多くなったことで、スケーラビリティの問題が発生しているのです。
その結果としてガス代も高騰しているため、購入費用の他に多額のガス代が発生して合計額が凄く高額になってしまうこともあります。
特に複数のNFT作品を購入するのであれば、ガス代はしっかりと確認しておきましょう。
購入金額は必ず確認してから
基本的にやり取りが仮想通貨となるので、だいたい円換算でどの程度の値段になるのか、必ず購入前に確認してください。
思っていた以上の額で取引されてしまっても、どうすることもできないからです。
対策としては、支払いを行う前に総支払額をきちんと確認する他にありません。
表示する値段と違っていることも多いので、しっかり注意しましょう。
目の前の欲に目をくらませない
高額で取引されるのは一部の作品のみで、他に出品されている多くの作品はさほど値段がついている訳ではありません。
「NFTは稼げる、儲かる」といったフレーズを良く聞きます。
確かに、有名なアーティストなど一部の作品については高額で取引されています。
ですが、こうした情報に惑わされて欲に目をくらませてしまうと、詐欺のようなNFT作品に騙されてしまうリスクが出てきます。
安易にシードフレーズは教えない
まともな運営を行なっているサービスなら、絶対にシードフレーズを求められることはありません。
シードフレーズとは秘密鍵のことで、12個の英単語からなります。
重要な暗号なのでどんな場合であっても簡単に他人に教えてはいけません。
海外のサービスなどを利用すると、稀にメタマスクなどのシードフレーズを要求されることもありますが、そのようなサービスは悪意があると考えて良いでしょう。
NFTの危険性まとめ
NFTにおける危険性についての情報をまとめてみました。
有名なアーティストが出品し、その作品が高額で落札されたことから、NFTは大きく注目を集めました。
確かに、技術的に見るとアーティストやクリエイターにとっては自分の権利をより守れるものでしょう。
しかし、有効に使う人がいる一方で、悪意を持って利用する人もいるのです。
そのため詐欺のようなNFT作品が出品されていたり、悪質な業者が運営するマーケットプレイスなどもあります。
こうしたリスクを避けるためにも、まずは自衛することを覚え、安全に活用していきましょう。