2022年4月19日高級スポーツカーメーカーのアウトモービリ・ランボルギーニ(以下ランボルギーニ)は、生産終了となる「アヴェンタドール LP 780-4 ウルティマエ」とNFTを組み合わせたオークションを開催し約2億円の売り上げを記録しました。
過去には物理アートを活用してNFTアートへアクセスするコレクションも販売しており、ランボルギーニが展開するNFT事業は大きな注目を集めています。
そこで本記事では以下の内容について解説していきます。
- ランボルギーニが展開するNFT事業の詳細
- ランボルギーニがブロックチェーンを活用してきた事例
- NFTが自動車業界へ与える影響やメリット
本記事を読むことで、ランボルギーニがNFTを通して与えている影響や今後の展望について理解することができます。
ランボルギーニについて詳しくない方にも、わかりやすく解説しているのでぜひ最後までご覧ください。
ランボルギーニのNFT
イタリアの高級スポーツカーブランドであるランボルギーニは、これまで以下2点のNFT事業を展開してきました。
- 初のNFTコレクション
- 世界で唯一無二のランボルギーニNFT
一見すると関わりがないNFTと自動車ブランドの事業について詳しく解説していきます。
初のNFTコレクション
高級スポーツカーブランドのランボルギーニは2022年2月1日、ブランド初となるNFTコレクション「Lamborghini NFT Space Time Memory」のオークション販売を開始しました。
当NFTコレクションは物理アートである「Space Key」とNFTアートがセットとなっている珍しいNFT作品です。
Space Keyに刻印されているQRコードを読み込むことで、宇宙空間に描かれた「ランボルギーニ アヴェンタドール LP 780-4 ウルティマエ」が表示される仕組みとなっています。
物理アートに使用されている材料には、国際宇宙ステーションに送ったカーボンファイバーの一部が使用されており、ランボルギーニらしいコレクティブルなアートへと仕上がっています。
また物理アートとセットになっているNFTアートは1,500点以上の実際のパーツをスキャンしており、アーティストであるファビアン・エーフナー氏によって描かれました。
オークション販売されたNFTは全部で5点、アポロ11号が地球を離れて月の軌道に乗るまでの時間と一致する時間である75時間50分かけてオークションが開催されました。
完売開始価格は100ドル(約12,000円)、落札価格は公開されていないようですが、希少性の高いことや富裕層を顧客にもつランボルギーニが展開するコレクションであるため、想像をはるかに超える価格で落札されたと予想できます。
世界で唯一のランボルギーニNFT
2022年4月19日、ランボルギーニの全車種がEV化を展開するなか、最後に販売される「ランボルギーニ アヴェンタドール LP 780-4 ウルティマエ」とともにNFTがオークション販売されました。
ランボルギーニの実車とともに販売されるNFTアートは、世界初のNFTデジタル住宅を手掛けたKrista Kim(クリスタ・キム)氏によって制作されました。
さらにNFT用の楽曲と実車専用のサウンドトラックの作成を、アメリカのエレクトロハウスミュージシャンのSteve Aoki(スティーヴ・アオキ)氏が手掛けました。
そして今回のコラボレーションは、Web3.0の未来に向けてブランドや組織をリードするINVNTGROUPによって実現しました。
当オークションは最後の生産車を得られるだけでなく、以下の特典が付与されました。
- 限定モデルに関するバーチャルプレビュー
- ランボルギーニの本社である「ムゼオ・ランボルギーニ」のプライベートツアー
- スティーヴ・アオキとクリスター・キムとのバーチャル交流会
オークション形式で販売された当作品は、160万ドル(約2億円)で落札され、ランボルギーニアヴェンタドールクーペの価格と比べてはるかに高い金額となりました。
ランボルギーニとブロックチェーン
高級スポーツカーブランドであるランボルギーニはこれまで、ブロックチェーンに関連するあらゆる展開をおこなってきました。
たとえば2020年5月には、ブロックチェーンを利用したデジタルスタンプ「The Automobili Lamborghini Collection」を発表しました。
ランボルギーニの歴代のスパーカーを特集した同コレクションは、1枚9.99ユーロ(約1150円)の2万枚限定で販売。
販売当時はNFTと表記がなかったものの「複製することの出来ない唯一のデジタルオブジェクト」と表現されており、2020年からNFT市場へ参入していたと確認できます。
また2019年にはブロックチェーンを活用して車体の情報管理をおこない、車両の信頼性を担保していると発表しています。
ランボルギーニの車両が転売される際には、同ブランドの本社において800〜1,000の認証検査がおこなわれます。
認証検査の結果は、クラウドコンピューティング・サービスを提供しているSalesforce(セールスフォース)が提供するブロックチェーンプラットフォームで管理。
つまり第三者による不正や改ざんが難しいブロックチェーン技術を活用することによって、ランボルギーニは車体の情報管理をおこなっていました。
おらゆる企業がブロックチェーンやNFT事業に参入するなか、ランボルギーニはより早い段階で同業界の仕組みを実装していたようです。
NFTがもたらす自動車業界への変化
代替不可能なデータであるNFTは、自動車業界に新たな価値を誕生させる可能性があります。
免許証をはじめ車両証明書など、昨今話題となっているデジタル証明書にNFTが活用されることが考えられるからです。
実際にイタリアの高級自動車メーカーであるAlfa Rome(アルファロメオ)は2022年2月8日、NFTによる証明書を実装した新型SUV「アルファ ロメオ・トナーレ(ALFA ROMEO TONALE)」を発表しました。
NFTには車の製造やリサイクルなど、車両にまつわる情報が記録されるといいます。
アルファロメオによると、改ざんができないNFTによって車両情報が管理されるため、車両の残存価格にプラスの影響を与えると言及しています。
車両の修復履歴の改ざんや盗難などあらゆる問題が乱立されるなか、NFTは自動車業界に革新的な解決策を与えてくれる要素となるのかもしれません。
ランボルギーニのNFTまとめ
本記事では、高級スポーツカーブランドであるランボルギーニのNFT事業や自動車業界とNFTの今後の動向について解説しました。
本記事の要約
- ランボルギーニは物理アートとNFTアートを融合させたNFTコンテンツを販売し、大きな注目を集めた
- ランボルギーニが生産する最後の「ランボルギーニ アヴェンタドール LP 780-4 ウルティマエ」は、NFTと共に販売され約2億で落札される
- 自動車業界においてはデジタル証明書を通してNFTの利用価値が高まる可能性がある
自動車業界とNFTの関係性については、未だ世の中に浸透しておらず特に日本国内での普及に際しては多くの時間を要すると考えられます。
とはいえ、ランボルギーニだけでなく他の自動車ブランドもNFTやブロックチェーン技術に注目しており、積極的な姿勢を示しているため今後の動向には注目したいところです。
自動車メーカーとNFTアーティストのコラボやNFTに関する新たなサービスを実装する可能性も十分考えられるため、国内外問わず今後も新たな情報を収集してみましょう。