「NFTを調べているとイーサリアムが関連にでてくるけど、いったいなんなのかよくわからない」
このように疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
イーサリアムはNFTに関係が深い仮想通貨となります。
本稿ではイーサリアムとNFTとの関係を紹介しつつ、イーサリアムの特徴や将来性を解説します。
イーサリアムとは?
イーサリアムとはスマートコントラクトを備えたdApps(分散型アプリケーション)のプラットフォームとなります。
2013年よりヴィタリック・ブテリン氏によって開発され、イーサリアム内で利用できる仮想通貨を、「イーサ(ETH)」と呼びます。しかし、日本ではプラットフォームも仮想通貨としてのイーサ両方を、「イーサリアム」と呼ぶことが多いです。
2022年3月時点では仮想通貨のなかで時価総額がビットコインに次いで2位となっており、非常に認知度も高いです。
契約を満たした場合、自動で取引が実行されるスマートコントラクトを搭載しており、管理者を持たないプラットフォームとして利用しやすいと多くのユーザーから人気を集めています。
イーサリアムの2つの特徴
ここからはイーサリアムの持つ2つの特徴を紹介します。
特徴①:スマートコントラクトで取引を簡略化できる
イーサリアムにはスマートコントラクトと呼ばれる取引を簡略化できるシステムが搭載されています。
スマートコントラクトとはブロックチェーン上に前もって設定した契約が実行された場合、自動的に取引を実行する機能です。
たとえば、「1か月後に口座にある2ETHをSさんに支払う」というプログラムを設定することで、実際に1か月後には2ETHがSさんに支払われます。
また、従来の金融取引の場合では相手から送金されないといったトラブルがよくありました。
しかし、スマートコントラクトを利用することで「Aさんが送金する」という条件と、「自分から送金をする」という条件を取引の成立条件として要件を書き込めます。
このように2者のみで取引が可能なことから、従来よりも大幅に業務効率が上がるのです。
スマートコントラクトは仮想通貨の送金のみならず、不動産取引や商品の売買など様々な取引に使えることから汎用性の高いシステムといえるでしょう。
そのため、今後はあらゆる分野で業務効率化や新たなビジネスの構築に使われていくことが期待されているのです。
特徴②:dApps構築のプラットフォームである
イーサリアムはdApps構築のプラットフォームであることも特徴の1つとなります。
dAppsとは日本語に訳すると「分散型アプリケーション」であり、銀行や政府といった中央管理者が存在しなくても稼働できるアプリケーションです。
dAppsはスマートコントラクトを応用したものであり、ゲームやオークションのプラットフォームなどが開発されています。
そしてイーサリアムには、dAppsを構築するための開発環境も用意されていますので、プラットフォームとしての役割も担っています。
たとえば、パソコンやスマートフォンのアプリではメンテナンスやエラー対応などにより稼働しない時間がありますがdAppsは常に稼働しています。
従来まではdAppsの開発は難しいものでしたが、イーサリアムの登場によって開発が簡単になりました。その結果、多くの人が dAppsの開発に参入できるようになりました。
イーサリアムとNFTの関係性とは
イーサリアムはデジタルコンテンツに所有権を与える「NFT」でも大きな役割を担っています。
インターネット上にあるアートや音楽などのデジタルコンテンツは簡単にコピーや改ざんが行われてしまうのが現状です。
しかし、NFTはブロックチェーンを活用しているため、悪質なコピーや改ざんができないようになっており、NFT化したデジタルコンテンツの所有権をはっきりとさせることができます。
NFT化したデジタルコンテンツを販売すれば、取引データがブロックチェーンに記録されます。
そうすることで、購入者はNFT化されたデジタルコンテンツの所有権を持っていることや、それが本物であることを証明できるようになったのです。
NFTはブロックチェーン上で発行されるものですが、デジタルコンテンツをNFT化するうえでよく活用されるブロックチェーンがイーサリアムなのです。
NFTで使われているイーサリアム以外のブロックチェーン4選
ここからはNFTで使われているイーサリアム以外のブロックチェーンを4つ紹介します。
ブロックチェーン①:FLOW Blockchain
FLOW BlockchainとはNBA Top Shotと呼ばれる、人気のNFTトレーディングカードゲームを提供しているDapper Labs社が開発したブロックチェーンです。
Dapper Labsは2017年に人気のNFTゲーム「CryptoKitties」を開発しており、NFT市場をけん引するブロックチェーン開発会社の1つとなります。
FLOW Blockchainはアプリやゲーム関連のNFTに特化しており、高速処理ができることが強みです。
また、ビットコインなどのブロックチェーンよりも環境負荷が少ない計算処理を実現しています。
ブロックチェーン②:Polygon
Polygonはイーサリアムに起こりがちな、NFT取引を行う際に発生する送金の遅延を解消したブロックチェーンです。
OpenSeaを中心にさまざまなアプリケーションに対応しており、汎用性の高さが特徴といえるでしょう。
また、イーサリアムのスマートコントラクトにおける記述言語「Solidity」が使えるため、利便性が高いです。
また、ガス代と呼ばれるNFTの取引手数料が安いこともPolygonのメリットといえるでしょう。
ブロックチェーン③:Near Protocol
Near Protocolは高速処理や、NFT取引を行う際のガス代が低いことが特徴のブロックチェーンです。
Near Protocolは当初、独自の方法でスマートコントラクトを記述しないとNFTを発行できない仕組みでした。
しかし、イーサリアムと近い言語の記述方法ができてからは、開発者がNear Protocolに移行しやすい状況になりました。
なお、Near Protocolでは「MintBase」というNFTのマーケットプレイスが提供されています。
また、Near ProtocolもFLOW Blockchainと同様に環境負荷が少ないブロックチェーンとしても知られています。
ブロックチェーン④:Polkadot
Polkadotは異なるブロックチェーンと接続できる、ブロックチェーンです。
たとえば、従来であればビットコインのようなブロックチェーンには互換性がなく、それぞれのブロックチェーン同士を繋ぐことができませんでした。
そのため、ビットコインをイーサ(ETH)に変換しようとすると、取引所で取引する必要があり非常に手間がかかっていたのです。
しかし、Polkadotによって特定のブロックチェーンに縛られることのないNFTの取引が可能になりました。
Polkadotを使うことで幅広いNFT取引ができるようになったため、多くの投資家から注目を集めています。
ブロックチェーンを選ぶ基準
ブロックチェーンを選ぶ基準は主に、「スマートコントラクトの類似性」「ガス代」「環境負荷」の3点です。
スマートコントラクトの類似性とはイーサリアムのスマートコントラクトと比較して、どのくらい同じように使えるかということです。
類似性が低い場合は、記述言語を学習する手間がかかる場合があります。
ガス代はNFT取引の際に必要となる手数料のようなものであり、ブロックチェーンによってコストが異なります。
NFT取引のガス代が安いブロックチェーンを選ぶことで、ユーザーにとって優しい環境作りを目指すことができますので、なるべくガス代の低いブロックチェーンを選ぶのがベターといえるでしょう。
また、環境負荷とはブロックチェーンで必要な膨大な計算処理を行う際に莫大な電力消費をすることから環境に悪い影響を与えることをいいます。
環境負荷は企業としても無視できない基準でもあるため、環境負荷が少ない「Proof of Stake」というアルゴリズムの1種が採用される傾向にあります。
現在イーサリアムでは大型のアップデートが進んでおり、この先数年でProof of Stakeに移行するといわれています。
このように、各ブロックチェーンについては今後の動向も見ながらどれを選ぶかを決めていくことが重要です。
イーサリアムの歴史
ここからはイーサリアムが誕生してからの歴史を紹介します。
①:ホワイトペーパーの発表
2013年11月、19歳だったヴィタリック・ブテリンがイーサリアムに関するホワイトペーパーを発表しました。
ホワイトペーパーにはイーサリアムの目的がdAppsの開発を簡単にするプラットフォームを構築することにあると記載されていました。
②:TheDAO事件の発生
2016年6月に発生したTheDAO事件はTheDAO(投資ファンド)のシステムの脆弱性を突いて、約8,000万米ドルのETHが盗まれた事件となります。
この事件によってTheDAOのプロジェクトは失敗に終わり、イーサリアムもハードフォークをすることで事件の収拾にあたり、イーサリアムクラシックが誕生しました。
③:メトロポリスの実施
2017年10月、「メトロポリス」と呼ばれるシステムアップデートが実施されました。
このアップデートによって、スマートコントラクトが一般のユーザーでも利用できるようになりました。
アップデート以降、送金者や受取主、そして送金した金額などの情報を第三者が確認できなくなっています。
④:イーサリアム2.0への移行準備が始まる
2020年12月にイーサリアム2.0への移行準備が始まり、イーサリアムの価格は大きく上昇しました。
移行が完了するとPoWからPoSへコンセンサスアルゴリズムが完全に切り替わりますので、さらなる価格上昇が期待できます。
イーサ(ETH)の値動き
ここからはイーサリアムで使われるイーサ(ETH)が、これまでどのような値動きをしてきたのかを紹介します。
バブル状態(2017年)
2017年は仮想通貨元年と呼ばれ、さまざまな通貨の値段が高騰するバブル状態にありました。
このときに仮想通貨の知名度が上がり、2018年1月にはイーサ(ETH)が一時18万円を記録しました。
バブル崩壊(2018年)
2018年には前年の仮想通貨のバブル状態が崩壊しました。
2018年3月にはG20サミットで仮想通貨の規制に関する議論がされるといった動きもあり、仮想通貨に対する懸念が広まった結果イーサ(ETH)の値段は低迷しました。
史上最高値の更新(2021年)
2021年にはイーサ(ETH)が史上最高値を更新しました。
2018年に記録した18万円を超える値段を更新しています。
しかし、電気自動車大手のテスラ社が環境への配慮としてビットコインの決済を止めたことや、中国政府が仮想通貨の取り締まりを強化することを表明しました。
その結果、2021年5月以降は仮想通貨全体として値段が下降気味でしたが、年末にかけて大きく価格上昇しました。
2022年には世界的なテーパリングやウクライナ情勢が重なり、仮想通貨全体の価格が下降気味となっています。
イーサリアムが今後も期待できる理由
2021年には史上最高値を更新しているイーサリアムですが、2022年以降の値動きはどうなるのでしょうか。
結論から申し上げますと、今後も値上がりが期待できる銘柄といえるでしょう。
以下に、その理由を2つ紹介します。
理由①:4つの大型アップデート
イーサリアムはさらなる利便性の向上を目的として、4段階のアップデートを設定しています。
「フロンティア」「ホームステッド」「メトロポリス」「セレニティ」の4つのアップデートです。
時代のニーズに合わせたアップデートを実施しており、すでにイーサリアムのブロックチェーンを活用した多様な技術やサービスが実装されています。
NFT取引でも積極的に使われる傾向にもあるため、将来性は高いといえるでしょう。
理由②:有力企業との連携
イーサリアムはビジネスに応用しやすいブロックチェーンであるため、ビジネスシーンでの活用を促す「イーサリアム企業連合」が存在します。
企業連合は2017年に設立され、日本を含めて150社以上の世界中の大企業が参加しています。
たとえば日本の企業においては、トヨタ自動車や三菱UFJグループ、KDDIなどの有力な企業です。
世界規模でいうと、JPモルガンやING保険、インテル、マイクロソフトなどの企業が挙げられ、世界中の有力企業から期待されていることがわかります。
イーサリアムはスマートコントラクトを備えたdAppsのプラットフォーム
今回はイーサリアムとNFTとの関係を紹介しつつ交えつつ、イーサリアムの特徴や将来性を解説しました。
今やイーサリアムはNFTを運用していくにはなくてはならない存在です。NFTに興味を持った方はイーサリアムについてさらに勉強してみるのも良いでしょう。
また、NFTの将来性を見込み、イーサリアムを保有してみたいと感じた方は仮想通貨取引所を開設してみてはいかがでしょうか。